【講師著書から読み解くビジネスの真髄】103

女優から介護士へ

北原佐和子さんは、女優としてのキャリアを持ちながら、介護福祉士・ケアマネージャー・准看護師としてもご活躍されている異色の存在です。

北原佐和子さんが介護士になった理由は、人生の中で経験した「人を助けたい」という強い思いと、社会とのつながりを求める気持ちからでした。

きっかけとなった2つの体験があるようで、1つは小学生の頃、駅で視覚障害者や高齢者が困っている様子を見て、「声をかけたい」と思いながらも行動できなかったことが心に残ったそうです。

2つ目は、20代半ばに大雨の中、四肢麻痺の男性がタクシーを拾おうとしている姿を見て、勇気を出して声をかけ、自宅まで送り届けた経験が「人としてどう生きるか?」を深く考えるきっかけになったとのこと。

更に、芸能活動とのギャップもあったようで、俳優業というのは決まった時間に仕事が入る訳ではなく、どうしても不定期で空き時間が多く、「自分が本当に情熱を持てることは何か?」と模索する中で、介護という分野に出会ったようです。

最初はボランティアから始め、違和感を覚えたことで「もっと深く関わりたい」と思い、資格取得へと進まれたそうです。

女優と介護の共通点

北原佐和子さんは、「女優の仕事と介護の仕事は似ている」と語っています。その理由は、どちらも「人を見て、心を読む」という点で共通しているからです。

「人を見て、心を読む」――演技と介護の両方に必要な“観察力”と“共感力”を活かしたコミュニケーション術が紹介されています。

 介護に対して“大変”なイメージをもたれている方が多いかもしれません。でも介護が必要な方は、人生の先輩。歳を重ねてきた歴史も経験もあります。だから学ぶことがとても多いのです。そう考えると、ちょっと見方が変わりませんか?

北原佐和子さんが介護現場で培った知恵や工夫を、女優ならではの視点で分かりやすく紹介されています。

観察力と共感力

女優は役を演じる際、相手の感情や状況を読み取り、表現する必要があります。介護も同様に、利用者の気持ちや体調を察し、適切な対応をすることが求められます。

北原佐和子さんは『観察力=小さな変化に気づく力』としており、介護の現場で「普段と違う」に気づくことが命を守る第一歩だと語っています。 表情・声の調子・姿勢など、微細な変化を見逃さず、記録に残すことで早期対応につながると強調。

例えば「返事がない」「顔色が赤い」など、直感的な違和感も大切にし、チームで共有する姿勢が重要だとしています。・・・介護のみならず、ビジネスの現場でも活かせるスキルです。

一方、『共感力=相手の立場に寄り添う力』ということで、「介護は人生の先輩たちの歴史を学ぶ機会」と捉え、相手の背景や気持ちに寄り添う姿勢を大切にされています。 介護される側の気持ちを想像し、「無理をさせない」「安心してもらう」ことを心掛けておられるそうです。 共感力は、単なる優しさではなく「信頼関係を築く技術」として、日々のコミュニケーションに活かされています。

「この人は今どんな気持ちなんだろう?」と考えることが、コミュニケーションの第一歩になると北原佐和子さんは言います。

相手に興味を持ってみてください。そしてその人が“どんなことを好きなのか?” “どんなことに興味が向くか”を探ってみてください」。

・・・北原佐和子さんが介護の現場で経験したエピソードから、我々にできることが見えてくるはずです。

女優、そして一念発起の介護士 〜介護の現場で体験したこと〜』(北原佐和子さん

・芸能活動のかたわら介護の現場で働いてきた自身の介護経験から編み出し、実際に効果があった  「声かけ」の具体例がとても参考になりました。

・食事、入浴、排泄などから日常でのやりとりまで、介護を受けている方の気持ちが前向きになりました。

・介護する側も介護される側も幸せになるノウハウのつまった内容で参考になりました。

・対面職業ならば避けて通れない人と向き合うコミニュケーションを学ばせて頂く良い機会になりました。

・長い人生を歩んで来た「先輩」達への接し方であり、講演で話されたような「細やかな気配り」があれば、やがて自分達も「行く道」なだけに感情的にも得心できる内容でした。

・基本的に「人としての接し方」が解説されているので、介護の現場だけでなく、他人と関わる時の「心がけ」として応用できる内容だと感じました。

・北原さんの優しい語り口と、介護に対する真摯な姿勢に感動したという声が多く、「介護は大変だけど、やりがいがある」と前向きな気持ちになったという感想が寄せられています。

・芸能人としての華やかな経歴を持つ北原さんが、地道に介護資格を取得し、現場で働いていることに驚きと尊敬の声が上がっています。「介護は特別な人がする仕事ではなく、誰もが関われるものだと感じた」との声もあり、大好評でした。