-ディズニーリゾートの危機管理-
一日の来園者数が5万人を超える東京ディズニーリゾート。世界有数のテーマパークとして毎日多くのゲストを迎えています。ゲストがパークを楽しむ大前提として、「安心と安全」を常に高いレベルで維持することが必須項目となっております。
ディズニーはアトラクション、シーズンごとのパレード、キャスト教育など様々な活動をしていることで有名ですが、そういう中でもゲストの笑顔と感動体験の土台となるのは”安全安心”、安全はゲストサービスの基本・・・という理念を持っています。
特筆すべきは、ディズニーリゾートは防災/セキュリティに関する業務を外部委託ではなく全て自社内で完結されているところではないでしょうか?「ゲストの安心安全が第一」という強い想いがキャスト全員に浸透し、行動基準として徹底されているようです。
石井修一さんは1983年のオープニングから一貫してパーク内の保安部署でゲストとキャストを守ってこられた方。まさに“安全安心”を守る縁の下の力持ちと言える方です。
・・・今回、某建材会社主催で防災関係の講演ということで、石井修一さんをお招きし、講演が開催されました。
-目指すべきゴールと行動基準-
1.品質基準 2.おもてなし基準 3.行動基準 は、「全てのゲストにハピネスを提供する」ということで、ディズニーリゾートの目指すべきゴールは「どうすれば大人から子供まで楽しめるか?」だそうです。
キャストの行動基準や判断基準は、全て4つの鍵だと言われており、4つの鍵「SCSE」とは、1.Safety:安全性 →全ての基礎、物理的に安全な環境をすくる 2.Courtesy:礼儀正しさ →心のこもったふれあい 3.Show:美観/ショー 4.Efficiency:効率とチーム力 で、優先順位としてはS>C>S>E。
-訓練の「SCSE」 4つの鍵-
安全性:ケガをさせない
礼儀:見える化を分かりやすく!常に火災を前提に行動し、win-winを意識する
・・・訓練・事前減災で正常化バイアスを排除しましょう。「私は大丈夫」という先入観、危機は起きるかも知れないが、自分たちに影響は低いという思い込みが危険なので、リスクを自分化して、事前減災対策を!!
災害は時間も場所も選ばず、「日常の中が発生」するということを改めて認識しましょう。
-3.11の対応-
3.11東日本大震災。パークは震度5強でしたが、すぐ対応しパークをトップとする対策本部を立ち上げ、社長とトップとする地震対策本部をすぐさま設置。
冷静に安全な避難誘導、建物の安全点検を行い、避難スペースの確保をしました。現場が素早く判断したゲストの期待を超える対応だったのではないか?と自負しております。
1.キャストは日常の行動で対応したので、パニックにはならなかった。
2.行動基準に基づき、臨機応変に素早く対応することが、権限移譲されていた。
3.安全(危機感受性)が文化として定着していた。
東日本大震災から10年以上が経ちました。その間、地震、台風、豪雨など多くの災害が私たちを襲いました。そして近い将来、南海トラフ地震が発生すると予想されています。もし明日の朝、朝食を食べているときに大きな地震が起きたら、あなたは何をしますか?また、何ができますか?
そして、道路やライフラインが寸断された災害直後、困ったあなたを助けてくれるのは、残念ながら行政でも国でもありません。助けてくれるのはあなたの地域の隣人です。
ディズニーリゾートで「安全安心」は最優先事項として、全ての行動の基礎となっています。例え素晴らしい計画があったとしても、実行するのは人です。防災・安全の世界にはキチンと役割をこなせる多くの人、総合力が求められます。
事前の備えが一番の対策 !であり、安全は自らの手で・・継続は力なりなのです。
『ディズニーの危機管理から学ぶ 〜そなえた分だけ憂いなし〜』(石井修一さん)
・パーク内の「安全安心」を守るための保安・防災計画の立案から訓練などのキャスト教育を行ってきた石井さんの講演は、具体的な事例を交えて分かりやすいので理解しやすく良かったです。
・もしもの時に備えて企業が考えておきたい防災対策について、良いタイミングで聴講させて頂くことが出来ました。この度はありがとうございました。
・すばらしい防災対策や計画があったとしても、実行するのは人なので、「キチンと役割をこなせる多くの人」「総合力」が求められるということが腑に落ちた。
・講演では具体的な事例を基にディズニーの防災体制と構築方法を知ることが出来、充実した内容でした。
・安心は備えた分だけ憂いなし。企業で、地域で、学校で、誰もが知っておきたい、防災の知識を深める講演会にオススメの講師だと思います。
・特に3.11のような大規模災害時は、個の力を活かす組織力が必要です。 重要なのは組織の指揮系統、円滑なコミュニケーション体制などのオペレーション体制ということで、防災体制の具体的事例が理解しやすかったです。