【講師著書から読み解くビジネスの真髄】76

トイクリエーター

大澤孝さんはトイクリエイターと名乗られています。タカラトミーで、ヒット商品を数多く手掛けた後、2019年に退職されてトイクリエーターとして活動されております。

大手玩具メーカーで数々のヒット商品を手掛けられた企画のプロフェッショナル大澤さんの、アイデアを生み出す基本がふんだんに披露されております。

大澤孝さんが手掛けられたヒット商品は、『ベイブレード』、『人生銀行』、『ビーダマン』などで・・・これらのおもちゃをご存知の方も多いのではないでしょうか?

『ベイブレード』はベーゴマを進化させたおもちゃで、コマ(ベイ)をぶつけて相手のをはじき出したり、長く回転できるのと競ったりするもの。『人生銀行』は、貯金箱なのですが、お金を入れるたびに貯金箱の住人の人生が変化していきます。貯金額や期間を登録して、目的を持って貯金が楽しめるものです。

おもちゃ流企画術

おもちゃ流というのは、おもちゃの企画特有のやり方があるということです。

おもちゃというのはワクワクしたりドキドキしたりする「プラスの感情を与えるもの」だということがポイントとして挙げられます。確かにおもちゃは楽しむものですから、プラスの感情がベースになります。それが企画に活きてきます。

・・・ですから、おもちゃ業界では機能性より心を動かすかどうかかの方が大事だそうです。ニーズからではなく、感情に焦点を当てて企画を導き出すおもちゃ流の発想方法で新しい視点を取り入れることができます。

ちなみに大澤孝さんの著書では、「興奮」「喜び」「感動」「安らぎ」「好き」「驚き」というプラスの感情を6つに分類してます。この6つの感情別に、アイデアを考える方法が紹介されており、非常に興味深い内容となっております。

高性能化・低価格化の進んだ現代、 機能を高めるだけでは人の欲求を満たせなくなりました。 その商品やサービスが顧客にとってプラスに働くこと、精神的な側面での価値が今、求められてきているのです。

人×感情×カテゴリー

大澤さんはアイデアの出し方として次の公式を本の中で紹介しています。

アイデア術公式 = 人×感情×カテゴリー

「人」というのは「誰(ターゲット)を」、「感情」は「どのような感情をもらたすか」、「カテゴリー」は「商品・サービス」のことです。機能性より感情を動かすのが大事なおもちゃなので、アイデア術の公式にも「感情」という要素が入っています。

この公式はまず、カテゴリーを決めて、ターゲットを設定してから、どの感情をもたらすかを決める順で使います。大事なのは感情のところで、感情を決めることでアイデアを考える方向性が定まるのが良いところでは?と感じました。

アイデアを企画に変えるポイント

アイデアから企画する・・・これがとても重要。アイデアはいいけど、実現できないということはよくあるのです。例えば、絶対面白いアイデアが浮かんだとしても、ユーザーが買ったり使ったりできない価格になってしまうなら、実現できません。

アイデアは自由に発想していいのです。アイデアの振れ幅が大きければ大きいほど、いい企画が生まれる確率も高くなる。これに対して、企画には「実現性」が必要ということです。

同著書は大澤孝さんが20年に及ぶおもちゃメーカーでの経験から得た企画術を網羅されております。

おもちゃは「人をワクワクさせるもの」・・・つまり、おもちゃ流企画術では「ニーズ」を起点にせず、「感情」を起点にしているところが特徴となっております。「企画がなかなかまとまらない」「マンネリ化してしまっている」・・・そんな悩みを持つビジネスパーソンの皆さん向けに、新しい企画術はいかがでしょうか?

「ベイブレード」の開発者が語る! 〜ビジネスパーソンのためのアイデア発想術〜』(大澤 孝さん

・アイデア発想に苦手意識を持っていたが、自分でもアイデアを出せそうな気持ちになった。

・自分が子供の頃に遊んだおもちゃの誕生秘話が聞けてとてもためになった。

・感情面から目を向けた、おもちゃを企画する際の発想方法を知ることができ、充実した時間でした。

・人×感情×カテゴリーの3つの組み合わせでアイデアを考える方法は、アイデアを出す際のとっかかりとしてとても役立つ情報だと思いました。

・世の中便利になって、機能的価値の差別化が難しくなっているので、おもちゃから発想を得るのは別視点も得られていいと思います。アイデアの考え方に興味のある方におすすめの講演です。

・発想技法をいろいろと教わったので、仕事の中で少しずつ実践していきたいと思う。

・部下にいくらアイデアを出せといってもなかなか出てこないので悩んでいたが、自分がやるべきことがわかり、すっきりした。アイデアの出るチームを作るために自ら環境を作っていきたい。