【講師著書から読み解くビジネスの真髄】120

AI・DX時代の課題

AI・DX時代のビジネスマンが直面している課題は、技術そのものよりも「変化のスピードに人と組織が追いつけないこと」です。特に、生成AIの普及により、必要とされるスキル要件が急速に変化している点が大きな特徴だと言われております。

松田雄馬さん著書『DX格差 AIに仕事を奪われないための5つのスキル』は、そんなAI・DX時代に「置いていかれない人材」になるための実践的な指針を示す本で、内容はかなり体系的です。核心をまとめると、AIに仕事を奪われないためには“5つの専門スキル”と“DX力(気づき・行動・継続)”が鍵になるという構成になっています。

急速に進展するAI・DX(デジタルトランスフォーメーション)の波により、仕事の現場に生じている「格差」の実態に迫ると同時に、個人がAI時代を生き抜くために必要な“実践的スキル”を具体的に解説したものです。

「AIが代わりに仕事をしてくれるから、自分は何もしなくていい」と考える人ほど、危機に直面しやすく、DXの波は、業界・年齢を問わずあらゆるビジネスパーソンの足元から静かに迫っており、「いつの間にか自分だけが取り残されていた」という事態はすでに現実のものとなりつつあります。

同著は、AIやデジタル技術に「使われる人」ではなく、「使いこなす人」になるための具体的な道筋を提示しています。

ビジネスアーキテクト

ビジネスアーキテクトは、AI・DX時代において“技術を使う人”ではなく“変革を設計する人”として中心的な役割を担います。企業や業務の全体構造を理解し、どこに課題があり、どこに価値が生まれるかを見抜く力が核になります。

その上で、デジタル技術・データ・人の動きを組み合わせ、実現可能なビジネスモデルや業務プロセスを描き、関係者を巻き込みながら変革を推進します。AIが作業を代替する時代だからこそ、人間が担うべきは「何を変えるべきか」「どう変えるべきか」を構想し、組織を動かす設計力であり、これがビジネスアーキテクトの本質です。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、AI・DX時代において“データを価値に変える役割”を担う存在として位置づけられています。松田雄馬さんの著書では、専門的な統計や高度なプログラミングよりも、まず 「問いを立てる力」 が重要だと強調されます。ビジネス課題を正しく捉え、必要なデータを選び、仮説を立て、分析結果を意思決定につなげる一連のプロセスが核となります。

またデータを可視化し、関係者にわかりやすく伝えるコミュニケーション力も不可欠です。AIが分析作業を代替できる時代だからこそ、人間が担うべきは“何を分析すべきか” “結果をどう活かすか”という判断と構想であり、これがデータサイエンティストの本質的価値とされています。

DXに苦手意識があるビジネスパーソン

DXに苦手意識があるビジネスパーソンに向けて、特に「ここだけは押さえてほしい」と強調しているポイントは、技術よりも“考え方と行動”にあります。まず身につけるべき基盤は次の3つです。

1.課題を見つける力(ビジネスアーキテクトの入口)
DXは「IT導入」ではなく「課題解決」です。そのため、最初に必要なのは技術ではなく、「どこにムダがあるか」「どこが不便か」「何を変えると価値がでるか」を見抜く力です。・・・これはITが苦手でも必ず身につけられる“思考のスキル”で、本書が最も重視するポイントです。

2.データを“読む”力(高度な分析は不要)
データサイエンティストというと難しく聞こえますが、本書が求めるのは「事実を数字で捉える」「仮説を立てる」「結果を意思決定に使う」という基礎的な力です。・・・ExcelやAIツールで十分に実践でき、DXの第一歩として最も取り組みやすい領域です。

3.人を巻き込む力(デザイナー的視点)
DXは一人では進みません。 だからこそ、 わかりやすく伝える 体験をデザインする 関係者を動かす といった“コミュニケーション力”が必須になります。 これはITスキルよりも、むしろ非IT人材が得意とする部分です。・・・つまり、DXに苦手意識がある人ほど、最初に学ぶべきは 技術ではなく、課題発見・データの読み方・巻き込み力 という“人間のスキル”だと強調しています。

AI時代に価値を出す人材とは?-

松田雄馬さんは、AI時代に価値を出す人材とは、「AIに置き換えられない領域で成果を生む人」であると述べています。特に重要なのは、業務や顧客体験の構造を理解し、課題を発見し、何をどう変えるべきかを設計できる力です。

またデータを読み、意思決定につなげる判断力、人を巻き込みながら変革を進めるコミュニケーション力も欠かせません。更にAIやソフトウェアの仕組みを理解し、適切に使いこなせる姿勢、そしてセキュリティを踏まえて安全にDXを推進できる視点が求められます。

・・・技術よりも「問いを立てる力」「構想する力」「人を動かす力」が価値の源泉であると強調されています。

AI時代に不安を抱くビジネスパーソンにこそ強く勧めたい一冊です。技術書ではなく、「DXが苦手な人でもどこから変われるか」を丁寧に示してくれる点が魅力です。特に、課題発見・体験設計・データ活用・ソフトウェア理解・セキュリティという5つのスキルを、専門知識がなくても実践できる形で解説しており、DXを“自分ごと化”できる構成になっています。

18人の実例もリアルで、読書後には「自分にもできる」という前向きな感覚が残ります。

・・・DXに苦手意識があるビジネスパーソンや、AI時代のキャリアに不安がある人、組織でDXを推進する立場の人向けに、変化の激しい今こそ、学びの起点としてお勧めの本です。

AI/デジタル技術と脳科学に学ぶ 〜これからの時代のビジネススキル〜』(松田雄馬さん

・⼈⼯知能(AI)は本当に”知能”なのか、本当に⼈の仕事を奪うのかなど、Iと今後のデジタル社会やデジタルトランスフォーメーション(DX)を冷静に捉えた視点なので良かったです。

・松田さんは、AIを“脳の働き”と結びつけて説明するため、「AIは知能ではなく計算である」という視点が非常にわかりやすいと評価されます。専門用語を使わず、例え話が多いため、非エンジニア層からの満足度が高い傾向がありました。

・AIに仕事を奪われる不安が軽くなった。AIの限界と人間の強みを明確に示すため、「人間が担うべき領域が理解できた」「AIを恐れるのではなく使いこなす視点が持てた」という前向きな感想が多かった。

・脳科学の話が面白く、記憶に残る。脳科学の観点から“創造・判断・共感”の重要性を語るため、「科学的で納得感がある」「AIの話なのに人間の話として聞ける」という印象を持つ参加者が多かった。

・ビジネススキルとして何を学べばよいかが明確になった。“これからの時代に必要な学びをビジネススキルとして得る”という構成が評価され、「明日から何をすればよいかがわかった」というにが実直な感想です。

・人間の知能のからくりがわかっていないのに人工知能(特に精神を宿した「強い人工知能」)がつくれるのだろうか、コンピュータには「身体」もないし難しいのでは、というような視点で「人工知能の時代」を的確に指摘されており、理解しやすい内容でした。

・不確実な時代といわれる現代において、AIやデジタルテクノロジーは避けては通れない知識といえますが、今回良いきっかけになりました。