【講師著書から読み解くビジネスの真髄】116

世界のエネルギー市場

コロナ禍やウクライナ侵攻によって世界のエネルギー市場が激変する中、日本が直面するエネルギー安全保障と脱炭素のジレンマを多角的に分析した一冊です。

「エネルギー」という切り口で、VUCA時代の経営に必要な“リスク感覚”と“現実的な戦略思考”を身につけられる著書だと言えます。

原油・天然ガス価格の乱高下、欧州のエネルギー危機、再エネの限界、原子力の再評価など、国際情勢の変動がエネルギー政策に与える影響を具体的なデータと事例で示しています。

門倉貴史さんは、予測不能なVUCA環境では特定の電源に依存せず「分散投資型エネルギーミックス」が不可欠と主張。水素、メタネーション、CCSなどGX技術の可能性にも触れ、日本が持続可能なエネルギー戦略を構築するための現実的な選択肢を提示しています。特に「脱炭素と脱原発は両立しない」という明確な主張が軸になっています。

コロナ禍とエネルギー価格

コロナ禍が世界のエネルギー市場に与えた衝撃を多面的に描いています。パンデミック初期には経済活動が急停止し、原油需要が急減した結果、史上初のマイナス価格を記録するなど前例のない混乱が発生しました。産油国間の価格競争やシェール企業の経営悪化も市場を不安定化させ、LNG開発の停滞や再エネ投資の鈍化にも波及します。

さらに需要回復局面では供給制約が顕在化し、価格が急反転して高騰。こうした急激な変動こそがVUCA時代の象徴であり、日本のエネルギー政策も不確実性を前提に再構築すべきだと指摘しています。

・・・エネルギー価格は企業の利益を左右する大きな要素です。価格高騰が企業経営に与える影響を具体的に分析しており、実務的な示唆が多い内容です。

エネルギー価格高騰と家計

ウクライナ侵攻後のLNG・原油価格の高止まりにより、電気・ガス料金が大幅に上昇し、家計の可処分所得を圧迫。特に低所得層ほど負担が重く、生活必需品の値上げと重なって実質的な生活水準の低下が進みます。

企業側では、製造業を中心にエネルギーコストが利益を直撃し、価格転嫁できない中小企業ほど経営が逼迫。政府の補助金は一時的な緩和策に過ぎず、門倉貴史さんは「構造的なエネルギー安全保障の強化」が不可欠だと指摘しています。

エネルギー安全保障のために“分散投資”が必須

エネルギー安全保障における「分散投資」とは、特定の電源や特定の国に依存せず、複数のエネルギー源を組み合わせてリスクを最小化する考え方です。VUCA時代は、地政学リスク、価格変動、自然災害、技術トラブルなど予測不能な事態が頻発し、単一のエネルギー源に依存するほど脆弱性が高まります。

再エネ・原子力・化石燃料・水素などをバランスよく組み合わせることで、供給途絶や価格高騰の影響を吸収しやすくなり、国家としてのレジリエンスが向上します。著者は、この“分散投資型エネルギーミックス”こそが日本の持続的なエネルギー戦略の基盤になると強調しています。

VUCA時代のエネルギー戦略

エネルギーをめぐる不確実性が日常化した現代において、日本が直面する課題を冷静かつ実証的に示した一冊だと感じました。コロナ禍やウクライナ侵攻による価格変動の背景が丁寧に整理され、エネルギー政策がいかに国際情勢と密接に結びついているかを再認識させられます。

特に、特定の電源に依存しない「分散投資型エネルギーミックス」の重要性は説得力があり、現実的な視点で未来を考える契機となりました。日本が持続可能なエネルギー戦略を構築するための示唆に富んだ内容です。

・・・VUCA時代はエネルギーだけでなく、サプライチェーン、金融、物流などあらゆる領域が不確実性にさらされています。同書はエネルギー市場の急変動を題材に、リスクの見立て方や複数シナリオを前提とした判断の重要性を示しており、経営にもそのまま応用できるので、お勧めの一冊となっております。

どうなる?今後の日本経済 〜これからの世界経済の行方と日本の企業戦略〜』(門倉貴史さん

・参加者から「最新の世界動向をわかりやすく学べた」「企業戦略に直結する内容で参考になった」「ユーモアを交えた解説で楽しく聴けた」といった感想が寄せられています。

・図やグラフを使った解説があり、非常に理解しやすかった。

・最新の経済動向を整理して提示してくれたので、今後の展望を考える上で参考になった。

・製造業を具体例に挙げながら話してくれたため、自分たちの業界に直結する内容として理解できた。

・日本企業がどう戦略を立てるべきかを具体的に示してくれたので、経営判断のヒントになった。

・テレビで見せる親しみやすさと同じ雰囲気で、参加者に寄り添った解説だった。

・最新の経済動向を、専門用語をかみ砕いて説明してくれたので理解しやすかった。

・中小企業の事例を交えながら話してくれたので、自分の会社に置き換えて考えられた。

・人材不足や長時間労働の課題を、AIやDXの導入でどう解決できるか具体的に示してくれた。

・地域密着型ビジネスや海外展開など、経営戦略の方向性が整理されていて参考になった。

・VUCA時代に必要なリスク分散や新規事業開発の重要性を実感した。