
-マラソン中継の名物-
マラソン・駅伝中継での、選手の人柄まで伝わる解説に定評がある増田明美さん。マラソン中継の名物とまで言われた増田明美さんのあの「細かすぎる」名解説はいかにして生まれたのでしょうか?
増田明美さんは1984年のロサンゼルスオリンピック出場をはじめ、佐々木七恵さんと共に‘80年代前半の日本における女子長距離走の第一人者で、引退後は解説者に。レースの中継での解説が人気になり、近年はレース以上に「増田さんが解説で何を言ったか」が話題になることさえありました。

選手のデータは勿論のこと、特技や趣味、家族の話題までキャッチーなフレーズや表現を交えて解説。聞いているだけで、その選手のことが好きになると評判を呼んでいました。
-細かすぎる解説が話題に-
‘92年に引退するまでの13年間に日本最高記録12回、世界最高記録2回更新という記録を残されている増田明美さんですが、マラソン中継では、選手の人柄まで伝わる”小ネタ”で親しまれ、「細かすぎる解説者」と人気を集める増田明美さん。
スポーツジャーナリストとして現場を駆け回る熱意の陰には、地道な練習に励む選手に寄り添い、その人らしい魅力を伝えたいという思いがあるようです。

増田明美さんの解説の特徴は、大量に盛り込まれる選手の「小ネタ」です。好きな食べ物や趣味はもちろん、誰も知らない意外なエピソードもたびたび登場する。
かつて、女子マラソン 野口みずきさんが合宿中に2.7kgの肉を平らげたエピソードは、増田明美さんが解説で紹介して一躍有名になりました。

レース展開や走りの解説の合間に、小ネタがこれでもかと盛り込まれ、視聴者もですが、陸上を日常的に取材するジャーナリストや選手に近いスタッフでさえ「どうやってそんな話を仕入れてくるのか?」と驚くことがあると言います。
・・・そんな解説者としての増田明美さんの舞台裏を初めて明かした著書が『調べて、伝えて、近づいて―思いを届けるレッスン』になります。
信頼関係を築き、人の心を掴んでいくにはどうすれば良いのか?というヒントが隠されています。
-アスリートのセカンドキャリア-
年齢を重ねるほど活躍が難しくなるアスリート生活。アスリートたちにとって、現役選手引退後のセカンドキャリアは無視できない問題です。

個人的にはかつての名選手が、かなり後輩にあたる現役選手にインタビューしていく行為はプライドなどが邪魔をし、難しいのでは?と思います。
しかし増田明美さんは、現役時代に大きな挫折を味わったからこそ、現役世代の選手に愛されているんだと思います。細かすぎる解説から、選手やマラソンに興味を持ってもらいたい意識からの、ジャーナリズム力が凄いです。84年ロサンゼルスオリンピック前後の栄光と挫折を乗り越え、今や細かすぎる解説といわれ人気者になった増田明美さんに親しみを感じる次第です。

一人の女性が陸上選手引退後のセカンドキャリアをどのように歩んできたか?という道程にも触れていますが、増田明美さんの選手時代と言えば今とは違ってスパルタな、陸上以外のことは何もできないような時代だったのではと思います。
そこから全く異なるキャリアをご自身で開拓した道のりは、色々な苦悩もあったのではないかと思いますが、それらを受け入れて前向きなエネルギーに昇華させていく強さを持ちたいものです。
-広い視野とコミュ力-
新しい仕事に取り組むもうまく行かず落ち込み悩む、その中でも常に前に進もうとあえぎ、そしてその経験を糧に確実に階段を上っていく・・・そんな増田明美さんの姿勢が文字を通じ全編に広がっている感じです。
広い視野と高いコミュ力・・・改めて増田明美さんを見習いたいと思いました。

相手との信頼関係の築き方、情報収集の極意、選手につけるニックネームに込めた思いまで・・・その舞台裏を初公開された同著。更に20年以上続けている大阪芸術大学での講義や、朝ドラ『ひよっこ』のナレーション、『読売新聞』「人生案内」回答者など、幅広い仕事で培ったコミュニケーション術に迫った内容で、ビジネス書としても充分活用できる内容となっております。



・明るい口調で、人にとって人生にとって大切なことを伝えてくださる内容でした。
・楽しい話の中に選手ならではの苦労話もあり、最後まで興味途切れることなく聞くことができました。「マラソンは一歩一歩の道」心に響きました。
・本校生徒のレベルに合わせ、本校の情報もしっかり取材した上での講演で、予想以上に反響があった。

・増田さんの現役時代を知る者としてとても感動しました。失敗は人に足りないものを教えてくれると思われるような謙虚な人になりたいと学びました。
・マラソンというスポーツを通して、人生・生きることの素晴らしさを、流暢な語り口で楽しくお話いただいたので非常に満足しております。
・走って、転んで、また起き上がる…そんな人生をエールする元気の出る講演会でした。