
-不安や葛藤は脳の働きによって生まれる-
『悩脳(のうのう)と生きる 脳科学で答える人生相談』は、脳科学者である中野信子さんが「悩み」を科学的に読み解き、人生のモヤモヤに答えるエッセイ形式の相談書です。
「悩む脳」と書いて「悩脳(のうのう)」・・・タイトルからしてインパクトありますがまさに、悩みがちな我々の“脳”に寄り添ってくれる一冊です。

同著は「週刊文春WOMAN」の人気連載をベースにした人生相談集で、一般読者だけでなく、俳優・芸人・ミュージシャン・棋士など著名人からの悩みにも答えています。
タイトルにある「悩脳」とは、悩む脳――我々が日々抱える不安や葛藤が、脳の働きによって生まれているという視点です。同著では、著名人や一般の方々から寄せられた人生の悩みに対して、中野信子さんが脳科学の知見をもとに丁寧に答えています。

「自己肯定感が低い」「人間関係に疲れる」「SNSで落ち込む」など、現代人なら誰もが共感できる悩みに対して、「それは脳の防衛本能」「共感疲労はミラーニューロンの影響」など、科学的な根拠をもとに解説されています。
-不安を味方につける-
我々はつい“不安”を悪者にしがちですが、中野信子さんは『不安は、あなたの脳が“未来を予測しようとしている”証拠です。』と語ります。
不安は、我々がより良く生きようとする脳の働きの一部。 だからこそ不安を否定するのではなく、上手に付き合い、活かしていくことが大切なのです。


●不安は脳の防衛本能
我々が不安を感じるのは、脳が「危険を予測し、回避する」ための仕組み。つまり、不安は生き延びるための大切なセンサー。
●「失敗が怖い」は自然な反応
失敗を恐れるのは、社会的評価や所属集団からの排除を避けたいという脳の働きによるもの。これは進化の過程で獲得された“生存戦略”。
●不安を抑え込むのではなく、使いこなす
不安を感じたとき、「なぜ今この感情が出てきたのか?」と問い直すことで、行動の選択肢が広がる。「不安は“行動の起点”になる」と述べています。
-ままならない自分を科学的に理解する-
自己嫌悪や自己肯定感の低さ、やる気の波など“自分をうまく扱えない”感覚に対して、脳科学の視点からその理由と対処法を解き明かしています。悩みの根源を脳の仕組みとして捉えることで、自己理解と行動のヒントが得られる章です。

やる気が出ない、自己肯定感が低い、恋愛が怖い――そんな悩みは、脳の働きによって説明できることが多いのです。
中野信子さんは、こうした悩みを“脳の反応”として捉え直すことで、自己理解と行動のヒントを与えてくれます。

-年齢と記憶の疑問に答える-
この章では、年齢とともに変化する記憶力について、脳科学の視点から答えが示されています。加齢による記憶力の変化や脳の老化に対する不安を、脳科学の視点から優しく解きほぐしています。記憶力の低下は“脳の衰え”ではなく、“脳の使い方の変化”であるという考え方が中心です。

中野信子さんは、“忘れること”を脳の合理的な選択と捉え、年齢を重ねることへの不安をやさしく解きほぐしてくれます。記憶の質が変わることは、人生の経験が深まることでもある――そんな前向きなメッセージが込められております。

1. 物忘れが増えた」は本当に老化?
・やる気は「ドーパミン」の分泌と深く関係している。
・「年齢による物忘れ=脳の衰え」とは限らない。
・加齢によって脳の情報処理の“優先順位”が変わるため、重要でない情報を意図的に忘れる傾向が強くなる。これは“効率化”の一種であり、脳の賢い適応とも言える。
2. 記憶力の低下は「記憶の質」の変化
・年齢を重ねるほど、記憶は“深くなる”
・若い頃は“短期記憶”が優位だが、年齢を重ねると“意味記憶”や“エピソード記憶”が強くなる。
・単なる暗記よりも「経験に基づいた記憶」が深まる。

・・・「悩むことは、脳がキチンと働いている証拠なんだ」という安心感。 悩みを“排除すべきもの”とせず、「悩みながらでも、キチンと生きていける」 そんなメッセージが、全編を通して伝わってきます。
悩みは尽きませんが、「脳のクセ」を知ることで、少しだけ自分を許せるようになります。つい悩みすぎてしまう人、自分を責めがちな人、人間関係に疲れている人には優しい一冊です。

『「運」を科学する 〜運がいい人の行動パターン〜』(中野信子さん)


・参加者は熱心にメモを取り、質疑応答も活発で、「チャンスを見つける力をどう鍛えるか」が具体的に示され、実務に活かせる内容と好評でした。
・人間の本能や社会性を脳科学の視点で解説しつつ、AIとの共存を考える内容で、聴講者からは「考えさせられる」「人間の矛盾を整理して理解できた」との声が多かった。
・「人間とは何か?」「どこへ向かうのか?」という大きなテーマをわかりやすく提示され、参加者からは、「聡明で謙虚な対応に感銘を受けた」と評価が高かった。
・脳の仕組みをもとに「運をつかむ人の特徴」「成功する人の習慣」を紹介し、参加者からは「時事ネタも交えつつ、エビデンスに基づいた話がわかりやすい」や、「新しいことに挑戦する習慣が運を呼ぶ」というメッセージが印象的だったとの声多数出ており、好感触でした。

・自己暗示やアファメーション、脳の報酬系の活性化など、心理学や脳科学の研究をベースにした実践的なアドバイスが豊富で好評でした。
・「わかりやすく、前向きになれる内容だった」「科学的な裏付けがあるので納得できた」といった声が多く、モチベーションや人材育成に関心のある参加者に大好評でした。
・超満員の会場で、豆まきの例を使って「運の掴み方」を説明。「豆は平等に降ってくるが、どう受け止めるかは自分次第」という話が印象的だったとの声も。 「運の悪い人には近づかない方がいい」というユニークな視点も興味深かったという感想がありました。



