【オペレーション日記】vol.226 ~平岩国泰さん~

現代の子どもたちの課題

現代の子どもたちは、学習環境の変化や情報過多、地域のつながりの希薄化など、かつてない環境の中で成長しています。ある調査でも「自己肯定感の低さ」や「挑戦への不安」が課題として指摘されており、家庭における親の役割がますます重要になっています。

今回、計測・分析機器メーカ系労組さま主催で、オンライン開催で平岩国泰さんを講師に招き、講演会が行われました。

興味を持たれた幼小のお子さんがおられる親世代を中心に約80名の参加でした。

大テーマは「親が子どもにとって安全基地となることが、現代社会を生き抜く力につながる」というものです。平岩国泰さんは、放課後NPOアフタースクール代表として、子どもの居場所づくりや自己肯定感の育成に長年取り組んできたご経験から、親の役割を具体的に語られました。

現代の子どもを取り巻く環境

日本の子どもは健康面では比較的良好ですが、自己肯定感や精神的幸福度が低いとされる調査結果があります。ICT教育や習い事の増加により、子どもたちの生活は忙しく、自由に遊ぶ「余白時間」が失われつつあり、放課後の居場所が地域から失われ、親も仕事と子育ての両立に苦しむ現状があります。

そんな中、「学校の課題」としては、不登校/いじめ/校内暴力・傷害事件も過去最多を更新。中でも小学生が増えており、小2が増えているなど低年齢化などを挙げておられ、

「放課後の課題」としては、“失われている3つの間”ということで、

1.時間:塾や習い事、宿題などで放課後が過密スケジュール化 

2.空間:- 公園や空き地の減少、治安への不安、ボール遊び禁止などの規制

3.仲間:SNSやオンラインでのつながりはあるが、対面での深い関係性や協力体験が不足

・・・「時間」「空間」「仲間」が失われることで、子どもは 挑戦心・自己肯定感・社会性 を育む機会を失っています。これは子ども自身の責任ではなく、環境を整える大人の選択や社会の仕組みによるものです。放課後のあり方を見直し、これらの「間」を取り戻すことが、子どもの健全な成長に直結します。

放課後NPOアフタースクール

今は外で遊ぶ時間が失われていたり、一人で遊ぶ子も多い。ある統計では「週一頻度で、友達と遊ぶが70.9%」とあるように、

放課後NPOアフタースクールの実践から、平岩国泰さんが代表を務める放課後NPOアフタースクールでは、子どもが自分で遊びや学びを選び取る環境を提供されており、その中で見えてきたのは、「大人が先回りせず、子ども自身に選ばせること」の重要性だそうです。

ちなみに、放課後NPOアフタースクールとは、「すべての子どもに安全で豊かな放課後を届ける」ことを目的に活動している特定非営利活動法人で、学校施設を活用し、子どもが主体的に過ごせる居場所づくりを進めています。

地域の大人を「市民先生」として巻き込み、社会全体で子どもを支える仕組みを展開。放課後を単なる「預かり」ではなく、挑戦・学び・遊びが融合する成長の場として位置づけています。学校・家庭・地域・企業をつなぎ、子どもが「安心して挑戦できる居場所」を全国に広げています。

安全基地とは?

安全基地」とは、子どもが安心して戻ってこられる場所=親の存在を指します。子どもが外の世界に挑戦し、失敗しても「ここに戻れば大丈夫」と思えることで、自立心と挑戦心が育つ、という考えです。

親が「無条件に受け止める」ことで、子どもは「自分は大丈夫」と思えるようになる・・・安心感があるからこそ、子どもは外の世界に挑戦できるのです。

安全基地がしっかりしている子どもほど、次のような力が育ちます。

挑戦する勇気:失敗しても受け止めてもらえる安心感があるからこそ、新しいことに挑戦できる。

助けを求める力:困ったときに「助けて」と言える。

感情の調整力:安心感があることで、怒りや不安を落ち着けやすい。

人とのつながり:信頼関係を築く力が育ち、社会性が高まる。

平岩さんの言う「安全基地」とは、親や大人が子どもにとって“絶対的な安心の拠点”であることです。これがあるからこそ、子どもは挑戦し、失敗し、また立ち上がる力を身につけます。

親ができる3つのこと

平岩国泰さんが強調するのは、親が「安全基地」として存在することが、子どもの挑戦心や自己肯定感を育む土台になるということです。
「教える」よりも「どう在るか」が大切であり、この3つの関わり方が子どもの成長を支える鍵になります。

1.無条件の受容
成績や行動に関係なく、「あなたが大切」というメッセージを日常的に伝える。 – 例:「あなたがいてくれてうれしい」「今日も元気に帰ってきてくれてありがとう」

2.共感的な関わり
子どもの話を遮らず、評価せずに「そうなんだね」と受け止める。失敗や不安に対して「どうしてそう思ったの?」と寄り添う姿勢が大切。

3.小さな成功体験の積み重ね
子どもが「できた!」と感じられる場面を意識的に作る。           例:靴を自分で履けた、挨拶ができた、などの小さな行動を認める。

・・・この講演は、「親が子どもに何を教えるか」よりも「どう在るか」が大切だという気づきを与えてくれます。親や地域の大人が「安全基地」となることで、子どもは外の世界に挑戦し、伸びていく・・・現代社会の変化に不安を感じる保護者にとって、子どもに安心感を与える「安全基地」としての役割を再確認する時間となったのではないでしょうか??

現代を生きる子どものために親ができること ~安全基地で子どもは伸びる~』(平岩国泰さん

・子育ては人育てだと思っています。今回の講演を聞いて改めて子育ては、会社でも家庭でも人と関わるときには大切にしたいと思いました。 退職後は私も子供と関わる活動をしたいと思ってます。

・ありがとうございました。子育てに限らず、職場でも活用できそうな内容だと思いました。私自身まだ子供はいませんが、普段から意図的にスケジュールに空きの時間を確保するなど、心の余裕を持たせるように過ごしていますので、将来も継続していきたいと思います。

・最近いろいろな中学校の学校説明会に参加しているのですが、どこの学校も「探求」を重要視していると感じていました。今回、渋谷区立の小学校でもそうであることを知り、我が子の横浜市立小の授業を振り返ってみると、現6年は確かに探求風の授業が多い気がします。そういうものなのだとわかるとすっきりしました。

・ついに感情的になり、叱った後に後悔になりしますが、紹介していただいた「キーワード」を参考に、実践してみたいと思っています。ありがとうございました!

・勉強になりました。ありがとうございました。

・信じていても本人(子供)がYoutubeなどの誘惑に負けてしまうことも多いです。信じるけれど放置にはならないようにするための具体的な行動例などあれば紹介していただければと思います。

・たくさんの子どもたちと真剣に向き合ってきたからこその、具体的な考え方、関わり方なのでとても理解しやすい内容で、きっと子育てが楽になります。

・ついつい子どもを他の子と比べてしまったり、できることできないことに目がいってしまって成果ばかりみてしまったりします。その子の中の育ちや道しるべを一緒に感じ一緒に楽しんでいきたいと思いました。

・『ほめるより気付く』・・・今日1日の景色が少し変わりました。

・私自身、子供が自己肯定感をもって自信をもって生きていってくれることが一番大事だと思っており、講演ではその思いをさらに強めてくれました。また実際に子供にかけるべき言葉を、実例で示してくれるため、実際の育児にも役立てることができると感じました。