【講師著書から読み解くビジネスの真髄】⑧

炎上(えんじょう))とは?

炎上」とは、インターネット上に投稿された情報に対して、批判やネガティブな意見が殺到し、爆発的に拡散していく状態をいいます。発信者が企業であった場合、謝罪に追い込まれるばかりか、長きにわたって不名誉な評判と記憶を残したり、莫大な損失をこうむったりすることも少なくありません。

2000年代半ば頃から炎上が、社会問題化するようになりましたが、コンプライアンス意識や権利意識の向上に伴い、以前であればとりたてて咎められることもなかったような失言が大きくクローズアップされ、発言者が謝罪に追い込まれるケースも増えています。

では、これまで炎上した企業や個人は、何が原因だったのでしょうか?炎上しないためにはどのような予防策や”火消し方法”があるのでしょうか。人事コンサルタントでブラック企業アナリスト 新田 龍さんが徹底分析した一冊が『炎上回避マニュアル』です。

留意すべき「さしすせそ」

内容や文言に留意すべきデリケートなテーマは『さしすせそ』で表すことができると言います。

さ:災害・差別
し:思想・宗教・社会保障
す:スパム・ステマ・スキャンダル
せ:政治・セクシャル(※LGBT、ジェンダー含む)
そ:操作ミス・粗相(※誤投稿、誤爆含む)

同書では、この「さしすせそ」に沿って過去の炎上事件を取り上げ、「炎上事件の概要」「何が問題だったのか」「対応と結果」「どうすれば炎上せずに済んだのか」について詳しく解説、検証しています。

まだ皆さんの記憶にも新しいだろう「100日後に死ぬワニ」ステマ騒動の他、「吉野家『生娘をシャブ漬け戦略』事件」、「『就職の教科書』&フジテレビ『底辺の職業ランキング』炎上事件」などの事例がピックアップされ、興味深く読むことができる内容となっております。

早期に炎上を鎮静化

レアケースですが、着実な対処や迅速な対応で早期に炎上を鎮静化させた例も挙げておられました。ペヤングソースやきそばのまるか食品の異物混入事件への対応や、株式会社ホビージャパンがプラモ転売容認発言をした編集者に対して下した処分などは、炎上が無事沈下したケースとして紹介されています。

万が一炎上したとしても、理想的な対応ができれば、逆に信頼度獲得に繋がることもあるという良い事例でした。勿論、炎上しないに越したことはありませんが、今後こうしたネットリテラシーを身につけることは、ビジネスマンの必須となっていきそうです。

豊富な事例とともに、悲惨なトラブルを起こさないために事前にできる予防策、炎上後の対策、火消し方法まで伝授する、炎上を恐れるだけではなく、炎上について「正しく知り、正しく恐れる」ことを目的に綴った読みごたえのある一冊です。

withコロナにおける企業リスクマネジメントと危機管理ガバナンス 〜個別危機管理から、全社的リスクマネジメントへ〜』(新田 龍

・・・いかがでしょうか?リアル/オンライン講演事業に取り組まれる執行部さんのご参考になれば、幸いです。