
ー現場感のある知性ー
伊藤聡子さんは、『ミヤネ屋』や、『ひるおび!』などコメンテーターとしての発信力に加え、事業構想大学院大学の客員教授として「地域創生」をライフワークにされており、1,000社以上の中小企業を取材してきた経験に基づく、非常に実践的な内容です。

日本各地の現場を取材して歩かれてきた伊藤聡子さんならではの視点で、「中央依存ではない、自立した地域経済の作り方」を説く、非常に前向きで示唆に富んだ内容です。単なる「地方創生」のきれいごとではなく、「どうすれば中小企業が利益を上げ、地域全体の経済を回せるか」というビジネス視点の戦略が詳しく語られます。
・・・今回、某電機メーカー関連の複数の労組さまが集まっての講演会事業でした。
ー「東京一極集中」から「地方分散型」へー
これまでの「東京が潤えば地方も潤う」という“東京一極集中”モデルの限界を指摘します。
東京一極集中により地域の人口流出や産業衰退が進む一方、デジタル化や働き方の多様化が地方の可能性を広げている事例もあり、地域資源を活かし、女性や多様な人材が活躍できる環境を整えることで、地方が自立的に価値を生み出す「地方分散型」社会への転換が求められています。

これからは地方が自律して稼ぐ「地方分散型社会」こそが日本のレジリエンス(回復力)を高める、とのことです。
背景にはパンデミックやデジタル化の進展により、場所を選ばない働き方が可能になりました。そのため日本全体のレジリエンス(回復力)を高めるには、地方がそれぞれの個性を活かして稼ぐ力を持ち、人口の受け皿になることが不可欠であると説きます。
ー地域の宝(資源)の再定義と高付加価値化ー
伊藤聡子さんの講演の肝となる部分ではないでしょうか?・・・「うちの町には何もない」という声に対し、視点を変える重要性を説きます。
1.異業種連携
自社だけで完結せず、農家、工場、IT企業、自治体がタッグを組むことで、一つの「地域ブランド」を作る。
2.DX(デジタル)の活用
デジタルは効率化のためだけではない。地方の小さな企業が、SNSや越境ECを通じて世界中のファンと直接つながるための「最強の武器」であると説きます。

「地域の宝」とは、自然や特産品だけでなく、文化・暮らし・コミュニティ・人材など“当たり前すぎて見過ごされてきた価値”も含まれると再定義することが重要だと仰っておられました。これらをデジタルやデザイン、女性の視点、多様な連携で磨き上げることで、高付加価値化し、地域が自立的に成長できる基盤が生まれる。

・・・「何もない」を「ここにしかない」に変える(価値の転換) 地域住民が「当たり前」だと思っている負の遺産や、何の変哲もない日常を、ビジネスチャンスとして再定義する話をされます。
「DX」と「リアルの価値」のハイブリッドで、「地方だから不利」という言い訳は、デジタル時代には通用しないという厳しくも、かつ希望に満ちた話をされます。
ー多様な人材(女性・若手)の活躍ー
組織力の源泉として「多様性」を挙げます。多様性は、組織に新しい視点と発想をもたらし、変化に強いチームをつくる源泉だと位置づけており、性別・世代・経験の異なる人材が交わることで、課題解決力や創造性が高まり、地域や企業が持続的に成長する基盤が生まれる可能性が高いです。特に女性の視点は、地域のニーズを捉えるうえで不可欠であると強調されてます。

1.女性の視点
生活者の目線を持つ女性が、商品開発や経営判断に加わることで、ヒット商品や新しいサービスが生まれやすい。
2.女性の感性
生活者としての視点が強い女性が経営や開発に加わることで、市場のニーズに合致したヒット商品が生まれやすくなる。
3.多様性がリスク管理になる
価値観が偏っていると、社会の変化やリスクに気づくのが遅れます。「これまで通り」を疑い、異なる視点(女性や若手)を入れることで、組織の「同調圧力」を打破し、イノベーションを起こす力に変えるべきである。
地域創生の部分で、最も深刻な問題として「若年女性の人口流出」を挙げます。地方から若い女性がいなくなる理由は、単に仕事がないからではなく、「古い男尊女卑の価値観」や「女性が活躍できるキャリアイメージが持てない職場」があるからです。男女共同参画を進めることは、地域から人がいなくなるのを止めるための「最大の人口対策」であると訴えます。いかに地域からの「若い女性の流出」を食い止めるか?ということも大きな課題だととも言えます。

育児や介護は女性だけの問題ではなく、男性も当事者として関わるべきだと説きます。長時間労働を前提とした働き方を見直し、男性も家庭や地域に参画できる環境を作ることが、結果として生産性を高め、優秀な人材(性別問わず)の確保につながると話します。
-地域の未来を切り拓く鍵-
地域の未来を切り拓く鍵は、多様な人材が活躍できる環境づくりにあると説く伊藤聡子さんの講演。特に女性の視点や経験は、地域課題の発見と解決に大きな力を発揮すると強調されます。企業や自治体は柔軟な働き方や学びの機会を整え、女性が地域で挑戦し続けられる仕組みをつくるべきだと語る。地域と女性が互いに力を引き出し合うことで、日本全体がより持続的に輝く社会へと変わっていくと提言。

地域の価値創造や多様性の活用を、ビジネスの視点でわかりやすく学べる講演です。人口減少や市場縮小が進む中、地域資源を高付加価値化し、新たな事業機会へ転換する発想は企業活動にも直結します。女性活躍や多様性を組織力向上につなげるヒントも得られ、ビジネスパーソンにとって実践的な学びが多い内容です。


『地域から輝く日本へ! 〜これからの地域と女性の力〜』(伊藤聡子さん)


・地域の課題を“弱み”ではなく“資源”として捉える視点が新鮮でした。明日からの施策づくりに活かせるヒントが多くあり、参加して良かったです。
・女性活躍と地域振興を別々に考えていましたが、両者が密接につながっていることに気づかされました。とても参考になる内容で、好評でした。
・地域課題をビジネスチャンスに変えるという言葉に強く共感しました。自社の新規事業の方向性を考えるうえで大きな刺激になりました。

・多様な人材を活かすことが企業の成長につながるというメッセージが非常に腹落ちしました。
・“自分の力を活かせる場所は必ずある”という言葉に背中を押されました。地域で働くことに前向きになれました。
・生活者としての視点が地域づくりに役立つと知り、自信が持てました。
・女性や多様な人材が活躍できる環境づくりの重要性を再認識しました。組織として何をすべきか考える良い機会になりました。


